「なんで人からブスって言われなきゃいけないの?」わたしたちは『可愛い戦争から離脱します』。
- ライフスタイル
- 小浜桃奈
- 2020.7.10
昨年12月に幻冬舎から発売された整形アイドル轟ちゃんの著書『可愛い戦争から離脱します』。
編集長見習い小浜自身も共感した、本の中に詰められた「女子の容姿に関するもやもや」について、
今回は「可愛い戦争」を提唱した動画再生数300万回のYouTuber・整形アイドル轟ちゃんと、
エマリー編集長見習い・小浜桃奈の対談をお届けします。
―――小浜さん、なぜ轟ちゃんをお呼びしたんですか?
小浜「最初は『MelTV』というYouTubeチャンネルで轟ちゃんを知ったんですね。轟ちゃんのチャンネルも観ていて、ご自身がメイクをして語っている動画が好きで、いつも視聴して元気をいただいていました。それで本を読ませていただいたレビューをエマリーで書いたんです。個人的に生き方を尊敬していたので、エマリーでお呼びさせていただきました」
轟「私のメイク動画の雑談を良かったですって言ってくれる若い人がいてくれて、すごくうれしいですね」
――轟ちゃんの本を読もうと思ったきっかけは、何だったんですか?
小浜「YouTubeチャンネルを見て、執筆に1年掛けて本を出したというのを知りました。途中で嫌になって書き直して泣いていたというのも動画で見ていたので“どんな本なんだろう?”と興味を持ったんですよね」
この本の言葉は“ストレートに全部飾らずに書いてある”ところが刺さったんですよね
小浜「まず『可愛い戦争から離脱します』という題名が独特ですよね。轟ちゃんが書いているのに轟ちゃんの写真が表紙ではないことも、私にとっては新鮮で。
そこでさらに“どんな内容なんだろう”って中身が気になって。今のインフルエンサーは気を使って、言葉をキレイにして表現してしまう人が多い中で、この本の言葉は“ストレートに全部飾らずに書いてある”ところが刺さったんです。
本の中に出てくる言葉も独特で、恋愛のことも“オムライスのパセリ”とか。私も元々ダイエットをしたりメイクの勉強をしたりして自分磨きが出来るようになるまでは、容姿にコンプレックスがあったっていうこともあって、著書を読ませていただいた時“同じようにメディアで活躍されている方でも同じ悩みがあるんだな”ってもっと深く轟ちゃんを知れた気がしました。
本を読んでなおさら好きになって、お呼びさせていただきました」
轟「そんな熱い想いを持っていてくださったんですね。ありがとうございます」
―――轟ちゃん、本を書こうと思ったきっかけはなんですか?
轟「もともと考えることと、書くのが好きだったんです。それを吐き出すツールとして動画を使っていたんですが、YouTubeってエンタメというか面白いことをしないとなかなか観てもらえないので、時間をかけて伝えたいこととかが発信しにくいツールでもあるんですよね。
そこをまっさらな状態にして新たな試みとして本を通して率直に伝えたい、表現してみたいと思ったんです」
―――本を書く上で辛かったことはありますか?
轟「嫌な記憶と向き合うことですね。1章がそのまま私の過去の体験を書いています。
それこそ、“いじめ”だったりとか、どうしてこんなに顔のことでコンプレックスを持つようになったのかとか。
自分の中でモヤモヤしていた部分を明確にしないと伝わらないなと思って。まずいつからコンプレックスが生まれたのか、“自分のことを変えたい”からどうやって人に発信”するようになったのか。
それを掘り下げていくのがすごく苦しくて。辛かった時の自分と向き合わなきゃいけなかったので、一番大変でしたね」
―――今回の著書の中に「整形はもっと努力するためのもの」だと言う言葉がありますが、美への努力の行き着く先には何があると思いますか?
轟「最終地点は“自分の自信”に落ち着くと思います。整形する人たちも自分の満足を得るためにやっている人と、他人からの承認が欲しくてやっている人がいて。
後者の求める“他人からの承認”や“愛”ってすごく不完全なものだから、そこをゴールにしてしまうと整形依存に陥りやすかったりして。
最終的なゴールは“自己満足”に置いた方がいいのかなって思いますね。世間がどんなに不細工と言ったとしても、自分が満足していたらそれで勝ちかなって思います」
小浜が聞きたい「エゴサ」について |
―――小浜さんから聞きたいことのリクエストがあるんです。轟ちゃんはエゴサしますか?
轟「YouTubeの活動をし始めた頃はしてました。最近はしないようにしてますね。ただ、今絶対いい意見ばっかりだろうなって時はします。テレビに出た後とかは賞賛コメント多いので、“いいね!”付けに行くためにしたりします。
でもあえて普段から地雷踏みに行く必要ないですよね。でも気になってしまうので気分が落ち込んだ時こそしたくなっちゃうんですよね~」
小浜「私もしないようにしようと思ってるんですが、しちゃうんですよね。
わざわざコメントしたりしてアンチしてくる人いるとブロックとかしちゃったり。見えちゃうので、コメントとかリプ見ないようにしたりとか……コメント欄もエゴサもしないようにしようと思ってます」
轟「私はコメントを“いただいた意見として利用させていただいているので、ありがとうございます”って感じですね
“ブス”という評価をしてくる人の浅はかさ
―――著書にも他人の容姿について評価する人について書かれていましたが、なぜ人に対して“ブス”っと言ってしまう人がいると思いますか?
轟「ブスと一方的に言えば、相手が反論してこないからじゃないかなと私は思っています。
意見が対立したり、おかしいと思ったりした時、私たちは議論できるじゃないですか。
顔のことって主観だし、本人の感覚で“ブス”って言われても、そこから対話できずに終わっちゃいますよね。
だから容姿のことをディスってくる人は、コミュニケーション能力が不足した人だと思うんです。
“わかりやすいところをディスりたい”“最終的に自分の意見なんで”って言って逃げたい人なんだろなって。だから“浅はかだな”って思っちゃうんですよね」
「可愛い戦争」はどこから出てきたのか?
―――轟ちゃんは著書を出して変わったことはありますか?
轟「思ったより幅広い世代の人が読んでくれたなというのはありますね。オジサン世代の人たちからも本の感想いただいたりとかして。それは嬉しかったですね。
最近はファンの子が“可愛い戦争”というワードを日常で使ってくれていることですね。
“可愛い戦争”という言葉が浸透してきて嬉しいなと思う反面“轟ちゃん可愛い戦争抜け出せてないじゃん”とか誤解している人もいたり。本を読んでいる人は意味をわかってくれているので。これはもともと私が作った造語なので“可愛い戦争から抜け出したいです”とファンの方から言われると嬉しいですね」
恋愛は「邪魔な時は邪魔」な添え物になってきた!?
―――著書の中にも登場する恋愛は“オムライスのパセリ”という言葉はどこから出てきたんですか?
轟「本の中で気に入っている言葉です。いろいろ見出しは考えていたんですが、一番最初からこのワードはあって。恋愛で書こうと思った時に、編集担当さんがえらい気に入って、絶対残そうって。
あったら美味しそうに見えるけど、なくても困らないっていう考えのうまい例え方かなって。お腹満たすために必要ないし、風味もないし、でも乗っているとなんか嬉しいっていう。ぴったりすぎて今は逆にほかの例えが思い浮かばないですね」
編集担当「例えば、“彼氏いないんだ”ってなると“え?かわいそう。合コンしようか?”ってなるじゃないですか。別にいなくても“本人がいいならいいじゃないの?”って。ストレートに言ってしまうといろいろ摩擦が起きてしまうけど“オムライスのパセリ”だと“大したことなくない?”って受け入れやすくなるかなって」
―――では、どんなパセリ(彼氏)だったら欲しくなりますか?
轟「そのパセリがなかったらオムライス食べられない時かな。欲しいと思うときはありますけど、なくても別に生きていけるし、パセリがないからって欠陥品にはならないので。欲しいパセリはたまにありますよ(笑)」
―――小浜さんはパセリ(彼氏)が欲しい時はありますか?
小浜「私はもう十分かな。大学卒業まではいらないかなって思います。仕事も学業もしていきたいし、今の私だと邪魔になってしまうかなって」
―――パセリ(彼氏)って邪魔なんでしょうか?
轟「邪魔な時は邪魔ですよね」
小浜「恋愛で、周りの人の意見や色んなことに惑わされるのに疲れましたね。少女漫画のキラキラやカップルチャンネル、青春みたいなものを想像していたのに、“現実はこうなんだ……”みたいなガッカリしたこともありましたし。仕事をしていきたいので、学業と仕事と恋愛、3つ全部は頑張れないというのが本音ですね」
轟「今って彼氏の優先順位が高くないんですよね。でも恋愛が一番という人もいて。恋愛が第一になっちゃうと私は生きづらくなりそうで。人に翻弄される生き方をするよりは、パセリくらいがちょうどいいなと思ってますね」
―――もうパセリ(彼氏)って要らないものなんですかね?
轟「まず彼氏が最優先じゃない方がメンタル安定しますよね」
小浜「わかります」
轟「もちろん人によると思いますけど、小浜さんの“邪魔”っていうのすごいわかりますね。“仕事したいのに”って時とか、“週1で会わなきゃ”とか。“俺と仕事どっちが大事?”なんて言われた日には“じゃあパセリ無くていいよ!”ってなりますね」
“可愛い”って、実は自分の心の中の問題だと思ってます。
―――轟ちゃんにとって自分の考える『可愛い』って何だと思いますか?
轟「“可愛い”って、対象について言っているけど実は自分の心の中の問題だと思っています。モノ自体、“これ”ってものが可愛いわけじゃなくて。自分の中で“可愛い”って感じたら、初めて可愛いものになるんだと思うんです。
社会的にはその基準は不確定だけど、自分が心で信じたものというか。その基準が違うからこそ“可愛い戦争”って起きると思います。大多数が可愛いっていったから成り立つものじゃなくて、自分の中で完結して、それぞれみんなの中で独立したものでいいんじゃないかなと思います。他人とは本来、干渉し合わない感覚なんじゃないかな」
ネットで悪意を受けて傷つくことは当たり前
―――他人からの「ブス」などの言葉で悩んでいる高校生に一言お願いします。
轟「今の高校生ってスマホもSNSも当たり前で、自分の美醜を気にしたり、他人の悪意に触れたりする機会が多くて大変だと思います。
だったら、自分が高校生だった時よりも、ネットの悪意に傷つくことは多いと思うけど、凹むことは悪いことばかりじゃないし、自分の可愛さを追求して自信をつけてほしいというか。
それをRPGでよく例えるんですが、悪口を言われるとHPが減っていくんですが、HPの減り具合って自信をつけると自分で調節できて、そうすると楽になると思うんですよね。凹んでる自分にも凹まずに、楽になる術を覚えてほしいです」
<整形アイドル轟ちゃんプロフィール>
1992年生まれ。YouTuber
整形アイドル轟ちゃんの公式YouTubeチャンネルはこちら
<本の紹介>
「可愛い戦争から離脱します」(幻冬舎)
著者 整形アイドル轟ちゃん
結局、顔がすべてじゃんと絶望する人たちへ。自分の価値を守り抜く強さを手に入れる方法。整形アイドル轟ちゃんの初著書。